フルスイング第3回
平成15年7月、桜台高校野球部は甲子園の予選に向けて懸命に練習をしている。そんな中、高林先生に次期野球部の監督を・・という話が舞い込む。野球とは縁を切り教師に専念したい高林は複雑な心境。第一プロ野球経験者はプロ野球界から離れても2年間はアマチュア野球の指導ができない。そう話して固辞する高林。この話は内緒にもかかわらずすでに職員室でも話題になってしまっている。そして現監督の阿部先生もスター選手を集めるつもりかと言い高林に食って掛かる。困惑する高林。
うわさは野球部部員達の耳にも入る。しかし部員の中村は自分らが弱いからそんな話が出てくると、いっそう激しい練習をしだす。
予選が始まる、しかし試合は見ずに、高林はひそかに、部員のために、空き地をサブの練習グラウンドとして借りる。そして空き地にびっしり生えている雑草を自分ひとりで伐採し、グラウンドとして整備することに取り掛かる。
天道は高林に、高林先生は高校教師としては未熟と話す。しかし、「高林先生は野球の指導においては経験に裏落ちされた確固たる自信があるはずです。卓越した力の持ち主はそれをいかんなく見せるべきです・・・。」天童の言葉を、時折頷きながら受け止める高林。
予選には高林が声をかけたブラスバンド部や、書道部に声をかけて書かれた応援の横断幕が張られる。それには「全国制覇」と書かれている。1回戦に勝ち阿部は学校に引き上げてくる。偶然高林と会う阿部。しかし阿部は高林のほめ言葉を素直には受け取れない。
桜台高校は地区予選を突破し、いよいよ本予選となる。
阿部は高林が空き地で草むしりしているのを見かけ、地主から予備のグラウンドの整備中という事を知る。高林は地主に、「野球は私に色んなことを教えてくれました。だから今度は、私が野球の楽しさを、子供たちに教えてやりたい。それが私の、野球への恩返しなんです。」と言ったという話を阿部は聞く。考え込む阿部。
学校に阿部監督の妻が高林を尋ねてくる。高林は驚く、彼女はいつも行く市場の弁当屋のおかみさんだった。
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